「将来、判断能力が低下したら誰が自分の面倒を見てくれるのか?」
「認知症になったときに、財産の管理や介護の手続きを家族に任せられるのか?」
このような不安を抱えている方は多いのではないでしょうか?
日本では高齢化が進み、認知症を発症する人も増加しています。
そんな中、自分が元気なうちに**「信頼できる人に将来の財産管理や生活支援をお願いしておく制度」として任意後見制度**があります。
本記事では、任意後見制度の仕組み、メリット・デメリット、利用の流れ、費用相場について詳しく解説します。
1. 任意後見制度とは?
任意後見制度とは、将来自分の判断能力が低下したときに備えて、あらかじめ信頼できる人(任意後見人)と契約を結び、財産管理や生活支援をお願いする制度です。
この制度を利用すれば、認知症や病気で判断能力が衰えたときでも、自分の希望に沿った生活を続けることが可能になります。
2. 任意後見制度と法定後見制度の違い
成年後見制度には、大きく分けて任意後見制度と法定後見制度の2種類があります。
制度名 | 任意後見制度 | 法定後見制度 |
---|---|---|
開始のタイミング | 判断能力があるうちに契約 | 判断能力が低下した後に家庭裁判所が選任 |
後見人の選び方 | 自分で選べる | 家庭裁判所が決定 |
主な特徴 | 事前に自由に内容を決められる | 家庭裁判所の監督下で運用される |
メリット | 自分の意志を反映できる | 急な判断能力低下でも対応可能 |
任意後見制度は、自分の意志を反映できる点が大きなメリットです。
3. 任意後見制度が必要な人とは?
✅ 認知症などのリスクに備えておきたい方
✅ 子どもがいない、または親族に頼れない方
✅ 配偶者や親族に負担をかけたくない方
✅ 事業や不動産を所有しており、適切に管理したい方
✅ 施設入居を検討しており、金銭管理を専門家に任せたい方
このような方は、早めに任意後見契約を結んでおくことで、老後の安心を確保できます。
4. 任意後見制度のメリットとデメリット
✅ メリット
- 判断能力が低下する前に、信頼できる人を選べる
- 自分の希望に沿った支援を受けられる
- 財産管理のトラブルを防げる
- 家庭裁判所の関与が少なく、柔軟な対応が可能
- 認知症発症後もスムーズに手続きが進められる
❌ デメリット
- 契約後すぐに効力が発生するわけではない(発動には家庭裁判所の手続きが必要)
- 任意後見人が適切に職務を遂行しないリスクがある
- 契約時に公証役場での手続きが必要(手数料がかかる)
5. 任意後見制度の利用の流れ
実際に任意後見制度を利用する際の流れを説明します。
① 任意後見人を決める
親族・友人・専門家(行政書士、弁護士、司法書士)などの中から、信頼できる人を選びます。
② 任意後見契約を公正証書で作成
契約内容を決め、公証役場で公正証書として作成します。契約には以下のような内容を盛り込みます。
- 財産管理(銀行手続き・不動産管理など)
- 介護施設入居の手続き
- 日常生活のサポート
③ 判断能力が低下したら家庭裁判所に申し立て
判断能力が低下したとき、家庭裁判所に本人、配偶者、四親等以内の親族または任意後見人受任者が申し立てを行い、任意後見監督人が選任されます。
④ 任意後見人が契約内容に従って支援を開始
監督人のチェックのもと、任意後見人が財産管理や生活支援を行います。
6. 任意後見契約の費用相場
項目 | 費用相場 |
---|---|
任意後見契約の作成費用 | 5万~20万円 |
公正証書作成の手数料 | 1万~3万円 |
家庭裁判所の監督人報酬 | 月額1万~3万円 |
契約内容によって費用は異なるため、事前に見積もりを確認することが重要です。
7. まとめ|任意後見制度で老後の安心を確保しよう
任意後見制度を活用すれば、将来の財産管理や生活支援を信頼できる人に任せることができます。
✔ 元気なうちに契約を結び、安心できる老後を準備する
✔ 公正証書で契約し、法的に確実なものにする
✔ 専門家に相談し、自分に合った契約内容を決める
「老後の不安を解消したい」「判断能力が低下したときの備えをしたい」と考えている方は、ぜひ行政書士にご相談ください!
お問合せ⇒やまの行政書士事務所
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