相続は、身近な家族が亡くなった際に発生する重要な手続きです。しかし、相続の流れは複雑で、何から手をつければいいのかわからない方も多いでしょう。本記事では、相続の流れをわかりやすく解説し、スムーズに手続きを進めるためのポイントを紹介します。
1. 相続発生直後の対応(死亡届の提出・葬儀)
相続は、被相続人(亡くなった方)が亡くなった時点で発生します。まずは葬儀の準備を進めながら、法律で定められた手続きを行う必要があります。
① 死亡届の提出
死亡届は、被相続人が亡くなった日から7日以内に市区町村役場に提出する必要があります。通常は、医師が作成した「死亡診断書」と一緒に提出します。
② 葬儀の準備と埋火葬許可申請
死亡届を提出すると、役所から「埋火葬許可証」が発行されます。これがないと火葬ができないため、忘れずに受け取ることが重要です。
③ 遺言書の有無の確認
遺言書がある場合、勝手に開封せず、家庭裁判所で検認手続きを行う必要があります(公正証書遺言を除く)。遺言書の内容によっては、遺産分割の方法が変わるため、最初に確認しましょう。
2. 相続人の調査と確定
相続手続きでは、相続人を確定することが重要です。相続人の範囲は、民法で定められています。
① 法定相続人の確認
法定相続人の順位は以下の通りです。
- 第一順位:子(直系卑属)
- 第二順位:親(直系尊属)
- 第三順位:兄弟姉妹
配偶者は常に相続人となります。
② 戸籍謄本の取得
相続人を確定するために、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取得する必要があります。これにより、隠れた相続人がいないか確認できます。
③ 相続人の調査と確定
相続手続きにおいて、相続人の調査と確定は非常に重要なステップです。相続人を正しく確定しないと、遺産分割協議が無効となったり、後から新たな相続人が見つかることでトラブルが発生する可能性があります。そのため、相続人の範囲を明確にし、必要な書類を取得することが不可欠です。
まず、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を収集します。戸籍謄本は、市区町村役場で取得できますが、改製原戸籍や除籍謄本も必要になる場合があるため注意が必要です。また、法定相続人の範囲を確定するために、配偶者や子供、場合によっては直系尊属(親)や兄弟姉妹の戸籍も取得します。
相続人が確定したら、相続関係説明図を作成すると手続きがスムーズになります。これは、相続人の関係を図示したもので、金融機関や法務局での手続きに役立ちます。
また、相続人の中に未成年者がいる場合は特別代理人の選任、認知された子がいる場合は追加の証明書類が必要になることもあります。行政書士などの専門家に相談することで、必要書類の収集や手続きを円滑に進めることが可能です。
相続手続きを円滑に進めるためには、相続人の調査を慎重に行い、正しく確定することが重要です。
3. 相続財産の調査と遺産分割協議
相続財産の範囲を把握し、相続人全員で遺産の分け方を決める必要があります。
相続財産の調査は、相続手続きを進めるうえで不可欠な作業です。被相続人の財産を正確に把握し、適切な分割や相続税の申告を行うためには、すべての財産を漏れなく確認する必要があります。
財産の種類には、大きく分けて「プラスの財産」と「マイナスの財産」があります。プラスの財産には、現金や預貯金、不動産、株式、債券、貴金属などが含まれます。一方、マイナスの財産として、借金やローン、未払いの税金、保証債務などが挙げられます。これらをしっかり把握することで、相続放棄や限定承認といった選択肢を適切に判断できます。
財産の調査方法としては、被相続人の通帳や証券会社の取引履歴、不動産登記簿謄本などの公的書類を確認することが重要です。また、保険会社や年金事務所への問い合わせも必要になる場合があります。
財産目録を作成し、相続人全員が財産の全体像を把握できるようにすることで、遺産分割協議が円滑に進みます。特に、不動産の評価額や負債の確認は慎重に行い、相続税の負担を見越した計画を立てることが重要です。専門家の支援を受けながら、適切に財産を調査し、確実な相続手続きを進めましょう。
① 財産目録の作成
相続財産には、不動産、預貯金、株式、負債(借金)などが含まれます。財産目録を作成し、明確に整理しましょう。
② 遺産分割協議
相続人全員で協議し、遺産の分け方を決めます。協議がまとまったら「遺産分割協議書」を作成し、全員が署名・押印します。
4. 相続放棄・限定承認の手続き(必要な場合)
相続財産に借金がある場合、相続放棄や限定承認を検討する必要があります。
① 相続放棄
相続放棄をする場合、相続開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所へ申述しなければなりません。
② 限定承認
相続財産の範囲内で負債を引き継ぐ方法です。相続人全員が共同で行う必要があります。
5. 各種名義変更と相続登記
① 預貯金の名義変更・解約
金融機関に被相続人の死亡を届け出て、手続きを進めます。遺産分割協議書が必要となることが多いです。
② 不動産の相続登記
相続した不動産の登記名義を変更する手続きです。2024年からは相続登記が義務化され、期限内に手続きをしないと過料の対象になります。
6. 相続税の申告と納付
相続税の申告は、相続開始から10か月以内に行う必要があります。基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合、相続税の申告と納付が必要になります。
7. 行政書士に相談するメリット
相続手続きは煩雑で、専門的な知識が必要です。行政書士に相談することで、以下のメリットがあります。
- 必要書類の収集・作成をサポート
- 相続人調査や財産目録の作成を代行
- 遺産分割協議書の作成を支援
相続でお困りの際は、専門家である行政書士にご相談ください。
まとめ
相続の流れは多くの手続きを伴いますが、順を追って進めることでスムーズに対応できます。特に、相続登記の義務化などの新しいルールにも注意が必要です。相続手続きでお困りの方は、行政書士にご相談いただくことで、確実かつ迅速に手続きを進められます。
相続に関する無料相談を受付中ですので、お気軽にお問い合わせください。
お問合せ⇒やまの行政書士事務所
コメント